よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

定点観測メモ/梅田哲也 

掲載日:2010-11-12 01:38:32

【定点観測メモ/梅田哲也】あいちトリエンナーレ搬入録(登久希子)

定点観測メモは、ある期間のあいだ、あるひとつの人やできごとを追って、そこで起こるできごとについて定点観測的に考える企画です。
ここに集まったテキストやその他の記録は、観測期間の終了後に再編集を行い、まとめられる予定です。
定点観測メモ第一回は、2010年7月1日から12月31日にかけて、梅田哲也さんを観察しました。

あいちトリエンナーレ搬入録 登久希子

2010年8月16日晴れ

名古屋に到着したのはお昼の12時頃。
なんだかすごくお腹がすいていて、とりあえず何か食べてから行こうと、ふらふらお店を探す。暑いし、味噌カツって気分でもないし、あんかけパスタでもないよなあ、と名古屋駅と伏見周辺を歩きまわっているうちに、微妙に道に迷って軌道修正。

気付いたら、周りにあんまりお店もなくなってきてしまい、くやしまぎれに目に付いたインド・カレーのお店に入る。インドっぽい音楽のかわりにNHKがついているのは、サラリーマンが多いからか。カレーをたべながら、みんななんとなく「ゲゲゲの女房」をみている。

地図をたよりに、とある会社の倉庫をめざす。わたしがお邪魔したのは、3日目の制作現場。お盆休みでうまく連絡がとれなかったりしたせいで、その日の午前中からやっとスムーズに制作がすすみだしたとのこと。

現場となるのは、普段服飾系の会社の倉庫になっているところ。中に入って、まず目についたのは、マンホール。全部で四つあり、そのうちのひとつには、砂がいっぱいつまっている。梅田さんも、ふたを開けて驚いたそうだ。

倉庫は、半分くらいのところで白い壁によって仕切られている。
梅田さんとしては、この壁べつにいらないのだが、この場所を提供している会社的に必要らしい。壁のむこうには、山積みのダンボール、ディスプレイ棚、ヘルメットなどなど。

件の白い壁は、天井までは届いていないので、はしごにのぼったら、壁の向こう側がみえる。梅田さんは、壁の向こうのダンボールの山を押しのけて作品を仕掛ける。

天井近くにある巨大な空調のはしっこに、ちょこんとペットボトルがのっていて、なんだろう、作品か?と思ってたら、冷蔵庫がわりに梅田さんが置いたものだった。

その日の終わりのほうには、入り口の扉のうえに、五円玉がついたぴょこぴょこうごく何かよくわからないものを並べる。こっちは作品。梅田さんは五円玉が好きらしい。たしかに、穴のあいた硬貨って、実はめずらしいのでは。日本以外であんまりみかけたことがないかも…。

マンホールの蓋とかロープ張りとか、重かったり大きかったり空間全体にかかわる作業と、例のゆれる五円玉みたいな空間のなかのディテールを同時進行でつくりあげていく感じは、わたしには予測不可能。つぎはなに?とつねに思っていたような。もっとも、なにが大局的で、なにがディテールかというのは、わたしの印象で、梅田さんにはすべてが等価的に大事なのかも、とか、溝の掃除を手伝いながらふと考える。

梅田さんの作品のつくりかたはちょっとかわっていて、最初にこれ、というふうにできあがりを決めてしまわない。というのが、タイトル「反イメージ進法」にこめられた意味らしい。場所と相談しながらできあがっていくような感じ。たぶん、インスタレーション的な作品って、そういう側面が大きいと思うけど、梅田さんの場合はそこがもろに全面にでている感じ。はじめに場所とか空間がありき、なのだ。

それと、梅田さんの場合はライヴと展覧会のちがいも気になるところ。そのあたりを伺うと、展覧会はもっと時間をかけてゆっくり観てもらうものだけど、ライヴは観にきている人との一騎打ち的な感じとのこと。一騎打ちかあ。

半日ほどしかお邪魔できなかったので、出来上がりがまったくもって謎のまま会場をあとにしました!



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