よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

連載記事 

掲載日:2010-11-26 16:11:47

【連載記事】高柳恵里 「Little Prince」(永田芳子)

高柳恵里 「Little Prince」 永田芳子

そろそろ毛玉の時期が来た。セーターはまだ薄手の物しか袖を通していないので大丈夫だが、ひざ掛けや座布団カバーには既にちまちまと出来始めている。生地が痛むので毛玉刈り機は使わない。何かのときに、まぁこんなもんかな、と思えるだけ指で毟る。丁寧な人はきちんと鋏で切るらしい。


高柳恵里さんの「Little Prince」という作品がある。2005年、大阪府立現代美術センターで行われたストック・コラボレーションvol.2という展覧会でSAI GALLERYが展示していた。その時見たきりなのでおぼろげになっているが、青い毛玉の毛足の部分を接着剤でいくつも留めて、確か円錐のような形だったかに仕立てた、ちいさな立体だ。
ほわほわの点で出来たそれは吹けば飛ぶようで、アクリルケースに守られた様子や稚さは可愛らしいような凛々しいような、なるほど、王子様かもしれないなと少し可笑しかった。それ以来毟った毛玉を見ると、王子様の素。と思ってしまう。


そういえば初対面の時に、一体どうしたのかというぐらい大量に毛玉の付いたセーターを着ている人がいた。あれだけあれば王子どころか、彼を襲う化け物だって作れるだろう。黒いセーターだったので色味もばっちりだ。今でも着ているのだろうか。もう化け物の素は落ちたろうか。


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