よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

連載記事 

掲載日:2010-12-10 18:00:25

【連載記事】地ノ味をながめる / 夏池風冴(米子匡司)

地ノ味をながめる / 夏池風冴 米子匡司

京都・上桂のスペース、Collective Parasol にて、夏池風冴さんの展覧会『地の味をながめる』を見ました。夏池さんという方の事は全く知らなくて、たまたま目にしたものです。

Collective Parasolは、住宅地の一階にある一室だけのスペースです。そのまま八百屋や魚屋が入っていそうな場所とサイズで、入り口は、通りに向けて全面ガラスの引戸になっています。
ホワイトキューブというわけでもないけれどフラットな部屋ではあって、床は藍色一色に染まっていて、なんというか、塾みたいな白い壁紙がついています。

見聞きした事について書く、というコンセプトのウェブマガジンでなんなんですが、どうも状況の描写をするというのが苦手で。一回見にいってもらえたら良いんですが、そういうわけにもいかないし、そもそも残念ながら12月3日〜5日の3日間で終わってしまったようです。
小説を読んでても状況の描写がきちんとしてるのと、もう一つよくわからんのとありますよね。


でも、この展示については、状況はすごく簡単なものです。


部屋には主に写真を展示してあって、入ってすぐに以下の文章があります。

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地の味をながめる

誰かが育てていた植物は枯れてしまって、その後に
空気と、そこにあったものとのかかわりと、出来事の中から、
この場所ではこういうものが発生してくる。

全ての場所が持つ個有性が、その上に現れる物に、影響を及ぼしていくことを
ながめることは、ものごとに対して普段と違う距離を取ることを味わう事だと思う。
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壁には、どれも植木鉢やプランターから生えた雑草を撮影した、20点ほどの写真がかかっています。

ああこれは草やなあ、と思うところから、文章によるサジェスチョンによってこちらの視点の解像度をさっと切り替えられて、雑草がその鉢植えなどの環境によって、それぞれの形に定着して存在している状態を──そこには形状の妙があったり、いくらでもディテールに入る事ができて──心地よく眺められました。
どうもそうしてみると(植物が好きな方は、何を今さらと言うだろうけど)雑草というのは面白くて。どんな環境にあっても一定の使命的で絶対的なルールに沿って形を取っている様がどうも素晴らしい。無理して表現しようとすると擬人的になってしまって、健気だとか超然としてるとかいうような言いかたになってしまうんだろうけど、そんな風に言わなくても、なんともなく生えてるのがいいですね。
また、特に雑草には、簡単に人間の力が及んでしまうところ、写真の草は触ったり抜いたりできないので、その事も良かったのかもしれません。

植物を普段あまり眺めないもので、良い機会でした。


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