よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

連載記事 

掲載日:2010-12-23 16:11:49

【連載記事】京都の鳥居(永田芳子)

京都の鳥居 永田芳子

これは8月の事。
京都にある知人宅に3日ほど泊まっていた。レンタルサイクルを借りていたのでどこへでも行けるがあては無い。
ごはんを食べ終わって知人はこれから仕事。さてどうしよう、と思っていたらチラシをくれた。「これからなんにでも。」とあり、鳥居のような神事に使うような建造物のモデル写真がプリントされている。裏面に添えられた地図は手書きだ。聞くと、知り合いが京大の寮の庭にそれを建てて、今日はそのおひろめ的な祭りだという。よく分からない。


数時間ほど自転車でうろついて、多少おかしな道へ入り込んだが一応会場に着いた。京大熊野寮。ガヤガヤするほうへ向かうと、なにか準備をしている人がいた。で、件の鳥居は浅い池の中に建っていて高さ約5.5メートル、横は約7メートル四方というなかなか立派な物。周りでは楽器が運び込まれたり、こどもが跳ねたりしている。まだ客もまばらでゆるんゆるんな雰囲気。その辺に座ってビールを2杯ほど飲んだところで仕事を終えた知人が着いた。残念な事にオープニング・ほら貝の演奏は済んでしまったが、ライブには間に合った。鳥居の上にドラムセットが組まれ、足場は少し狭そう。
チラシに出演者の名前がなかったので誰だか分からないが。シンセがからんでしばらくすると、寮から女の人が出てきて苦情を言った。どうも、その祭りについての知らせが寮内に行き渡っていなかったらしい。
しばし休憩の間に、この鳥居はどういう謂れで建てられたのか訊ねると、「熊野寮には代々、寮生の健康を願ってみかんを投げ合い的を倒す‘みかん祭り‘があり、そのモニュメントとして」との事。答えを聞いても聞かなくても分からなさはあまり変わらないな、と思う。


話し合いの後、演奏はアコースティックに切り替えということで落ち着いたらしく、男の人が鳥居中央のステージで演説とも即興ともとれる唄を歌いだした。何と言うか、いろいろと丸腰な感じがずいぶん面白い。知人にそれを伝えると、彼はマイアミという人で、しかも以前から知り合いだという。マイアミはポッドキャスト「スキマ芸術」で紹介されていて、その時も面白いと思っていたので驚いた。
そうこうする内に別の、やはり仕事帰りの知り合いが何人かやってきた。しきりに「左京区!左京区っぽい!」と楽しんでいる。観客もウロウロと増え、池では子供が2人全裸で泳いでいる。確かきんぎょ、亀、カエル等が住んでた気がするけれど。小学生の女の子が寄ってきて、ジュエルペット?とかいうキャラクターのカードで占いをしてくれた。結果は忘れた。
とりあえず、付随するご苦労もあるのだろうけど「やっちゃえる人達がやらかすと、やれちゃう」の好例と思えばいいのだろうか。京都っぽいといえば抜群にそうだという気がする。様として素晴らしくもある。でも、京都っぽさってなんだろう。ますます分からなさが増す。




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