よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

定点観測メモ/梅田哲也 

掲載日:2010-12-26 18:27:20

【定点観測メモ/梅田哲也】第十四回音楽祭(米子匡司)

定点観測メモは、ある期間のあいだ、あるひとつの人やできごとを追って、そこで起こるできごとについて定点観測的に考える企画です。
ここに集まったテキストやその他の記録は、観測期間の終了後に再編集を行い、まとめられる予定です。
定点観測メモ第一回は、2010年7月1日から12月31日にかけて、梅田哲也さんを観察しました。

第十四回音楽祭 米子匡司

札幌は歩道が凍結しています。
この日は全国的に寒波が来ていて、大阪でも寒かったけど、札幌もこの冬一番の寒さになったらしく、地元の人は靴に滑り止めをつけているそうなんだけど、僕には用意がないので、転ばないようにすり足で歩道をすべって歩きます。
とにかく空気が冷たいけれど、風がないのがまだ救いで、大阪の寒い日とはまた違って、クーラーの強く効いた部屋か、冷蔵倉庫かなにかにいるようです。ふとした瞬間に、周囲がものすごく冷たい事を感じる。

19時半、会場は札幌市街のなかの古いビルにあって、一室にはレコード屋さんや、北海道冒険芸術出版というグループ(詳細はわかりません、編集長は全国を原付で行脚しているそうです)などが入っていて、古さが良い雰囲気だし面白そうなビルです。6F、会場のOYOYOに到着。

この日は高橋幾朗+植野隆司、さや、神田聡+永田塁+古立太一、梅田哲也、大城真と5組のパフォーマンスがあって、なかでも高橋幾朗さん+植野隆司さんの演奏の前半は印象に残る内容でした。
高橋幾朗さんは鈴や高周波、植野隆司さんはギターを演奏していて、お互いを意識しながらも、別の場所を向いているような、別の方向を見たまま相手に手を差し伸べるような演奏の距離感と緊張感が良かった。植野隆司さんは12弦のギターをオープンコードにチューニングしていて(ほかにもあと2本ギターを用意していました)、つまびいてから回転する、と、(ドップラー効果で)音を揺らします。

さやさんはギターやピアノを弾きながら歌って、神田聡+永田塁+古立太一さんら3人はそれぞれに、ドラム缶、スピーカー、紙と牛乳瓶を使ったパフォーマンスで、地面に置かれたスピーカーから音の鳴るなか、ドラム缶が転がって、ビンが割れる、危険なパフォーマンスでした。

梅田哲也は、“ファンタスティック光皿”( http://www.yosomi.jp/teiten.php?id=134 )で見たときとほぼ同じ内容の、ボウルやライトや扇風機のシンプルなセットを用意していました。
セットはほぼ同じでも、パフォーマンスが始まってみると印象は大きく違っていて、音楽的にどっかに進んでいくというよりは、いくつかの要素を行ったり来たりするように見えて、回る扇風機と接触して火花が飛んだり、ペンライトで作られる影や、途中途中美しい瞬間があって、でも僕は全体としてはとらえどころを掴み損ねて、楽しみきれなくて残念でした。
最後の大城真さんのパフォーマンスは、円筒や鉄板をマイクやスピーカーにしてフィードバックを操作したり、壁を鳴らしたりするもので、僕の中ではその2人の対比が面白くて、できごとの起こし方のようなことについて考えていました。札幌でのイベントは、明日も明後日もあります。


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