ブックオン覚書 永田芳子 開店前に書店近くのファーストフード店に集合。コーヒーを飲みつつ、今回の企画者・山本さんからブック・オンのしおりを片手に大体の手ほどきを受ける。予定のうち一人遅れているが、定刻が来たのでビルの入り口へ移動。余所見の人達とはミーティングやどこかのイベントでばったり、という会いかたしかしないので、「自然光+屋外」という状況で姿を見るとものすごく変というか斬新というか。 初めは雑誌コーナーからぞろぞろ見ていく。写真集、歴史、小説、気にかかった物についてあれこれ言いながらなので、思った以上に進まない。いきなり先行きが怪しいので団体で動くのはやめにして、個々のペースで廻る方式に変更。 軽くお昼を済ませてから、買うつもりにしていた文庫本を探して目を凝らすのだけれど、どれも似た感じでなかなか見つからない。出版されてからある程度経つと表紙が見える形で置かれることは少なくなるのだから、背表紙こそ何色だったかくらいは覚えておかないと不便だと強く思う。ハードカバーなら少しは表紙の書体などが反映したりしていてマシなんだけれど。文字を読むのが少しずつ嫌になってきたので背表紙の色と紙質だけ眺めた。高いところに並んだ文庫は、ツヤのあるコーティングがしてあると照明が反射して書名の部分が白くなる。 文庫のブロックを出て、まだ広い書店を見る。ここからは実用書が広がる。どれも自分の生活に何らかの形で関わる事柄。ふと、もしこれらを全部読んだらその分くらいは賢くなれたりするかしらなんて考えがよぎるが、棚には「○○すべき」と「○○すべきでない」が隣り合わせて置いてある。両方を同時に買って読むのは可能としてもジャッジするための知恵はその行為で手に入るんだろうか。しかもそれらの本の内容は徐々に古くなり、中には要らなくなるものもある。ウニタ・ミニマというユニットの曲の、『何が正しいのか全て知ってる人を誰か知らないか』という一節を思い出す。きっと、何もかも読み終えるには私の人生の長さが足りない。 棚を見上げる体勢を続けたからか腰が痛くなってきた。なるべく棚の低い所でしゃがんだり伸びをしたりしてみてはいたが、やはりこうなった。健康のコーナーに行けばきっと腰痛関係の書籍があるに違いないが、店内マップでは位置的に遠くてしょうがないので、たまに出くわすメンバーにちょっかいをかけて気を紛らわせる。意にかけなかった本について何か聞かせてくれるので楽しい。時間が足りないので普段よく行くコーナーは飛ばす。閉店の合図が鳴り、座談会を録るころにはみんなぐったりしていた。