よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

連載記事 

掲載日:2011-12-12 02:15:26

【連載記事】「映像発信てれれ」(中島彩)

「映像発信てれれ」 中島彩

大阪を中心に、一般に自主制作の映像を募集して、カフェなどで上映してまわる「映像発信てれれ」という団体/活動があります。
映像は一作品5〜10分くらいのものが多くて、それら5〜6本をまとめてプログラムを組んで、一ヶ月の間にいろいろな場所をまわって上映しています。
「てれれ」のことは前から知っていて、数回見に行ったことがあるのだけど、今回は半年ぶりくらいの参加でした。

というのも、今住んでるうちにはテレビがなくて、でも子どもの頃はずっとテレビがついているような家で育ち、今働いている職場の昼休みではテレビの話題も多く、ときどきすごくテレビもしくは映像が見たいという衝動に駆られるのです。
それは、レンタルDVDで映画を借りてみるのではまかなえなくて、もうちょっとライブな情報であってほしくって。
You TubeとかUstreamだと、ネット上に膨大にありすぎてどれを見たらいいかわからないし。

今回も、前日に映像が見たい衝動に駆られていて、ちょうど「てれれ」の上映会があるのを知って、しかも会場が前から行ってみたかった「ファレ*ティプア」という布ナプキンを専門に扱っているお店で、すごくタイミングがいいと、でかけることにしました。

上映時間より少し前に会場についたので、布ナプキンを見せてもらいます。布ナプキンって、知らない人もいるかと思うので一応説明しておくと、生理の時に使うもので、よくある市販の使い捨てのものとは違って、コットンやネル生地でできていて、洗って繰り返して使うものです。肌触りが良くて生理中の不快感が軽減されるという評判を聞いていました。それに、使い捨てだと自分からでているものが不潔なゴミに思えてくるのが嫌だなと思っていました。古来から生理中の女性は不浄で、神聖な場所には入れないなんて信仰もあるけれど、動いた時にかく汗みたいに生きているから当然のことと受け止めたくて、自分で洗濯したいなと。
それで前から気になっていたのでした。

さて、そうこうしているうちに上映時間になりました。
お店のひとりがもうひとり増え、4人で大きなテレビ画面で見ます。

最初の作品は「ここにおるんじゃけえ」という脳性麻痺の女性の方の元気な生活をおったドキュメンタリー映画の予告編。
次に、東北で被災されたグループホーム職員の女性のインタビュー。
3番目は、地元の人が名古屋の守山城跡を廻った探検日記みたいな映像。
4番目に、外国人(主にアジア)が多く居住する新長田の商店街で月一度開かれるアジア横町ナイト屋台というイベントのレポート。
5番目に瀬戸田名物のせんべいを焼く女性へのインタビュー。
最後に同性愛、性同一性障害などの性的マイノリティの人たちが自分たちの感じていることを話す座談会みたいな映像。

作品と作品の間に転換時間があまりないので、消化できないまま次々に違う映像を見ることになります。
前述の通り、映像を普段見ることが少ないので、情報の多さも驚くくらいで、最初は圧倒されてしまいました。
話す人とその内容だけでなく、画面に写った目的の被写体以外のものにもそれぞれ情報がつまっていて。
情報を発信するものとしてすごく強い媒体だと思いました。

それから、「てれれ」の場合、編集者がいない感じと言うか、話したい人が話している感があります。
テレビだと、撮影者と被写体以外の人がいて、それはディレクターなのか、視聴者なのかだれかわからないけれど、見る人に「こう見せてこう思わせよう」という意志が働いている気がするのです。

たとえば、いま「県民ショー」みたいなご当地番組が流行っているみたいだけれど、それはほんとにそうなのか、それともその地域はそういう所だと思わせようとしているのか、疑わしいと思える所がありますよね。
「てれれ」の今回のいくつかの作品は、ほんとにそこにいる人がそこのことを話していて、そこにいる人がそれを撮影している感じでした。
5番目の映像で瀬戸田の煎餅のおばさんが、この煎餅が経済産業大臣賞を受賞した時に、いろんな企業からいろんなところで手に入るような商品化の話があったけれど、自分で焼けないし、ここに来たら食べられるでいいかと断ったという話をしていましたが、そうそう、地方の特産品って、ほんとはそのはずなんだと思います。
テレビ番組も、個人の集まりが作っているものなのに、どこでも同じように見れるようになっていることで、個人の手を離れてしまっていて、百貨店での地方物産市や主要駅に行けば手に入る「○○特産□□まんじゅう」みたいに、個性的でありえなくなっているように思えます。

さて、見終わってから、見た人たちで感想を話したりするのですが、2番目の作品についての話から、被災者の中にはナプキンを頻繁に買いにいくことができないので布ナプキンが欲しいのだけど、救援物資を取りまとめている市役所の人に言いづらいという女性がいて…、という様な話や、最後の作品からは性同一性障害で、心は男性なんだけれど、身体は女性の人が生理をどううけとめているかみたいな、布ナプキンの専門店というこの会場ならではの話も聞けて面白かったです。

上映会終了後、会場が鶴橋なので、駅近くのコリアンタウンを店の人に案内してもらうことになりました。
そのひと曰く、ここ10年程鶴橋がコリアンタウンとしてテレビで紹介され、観光客が増えたり、それらしい韓国風の店が増えてきているけれど、昔はこうではなかったとのこと。
たしかに、焼肉店、キムチ店など韓国料理の店や、韓流アイドルグッズの店、韓国風カフェなんかもあるけれど、昔からあるというよりまだ新しい店構えです。
とはいえ、賑やかな商店街のムードや立ちこめる焼き肉の匂いにひかれて、ついつい見て廻ってしまいました。

今の時代に、映像を見にでかけなくてはならないのって、わざわざ感があるかもしれないけれど、だからこそそこに行かなければ見れない制約された映像があることや、行ったついでに付近を散策したりすることができるのって、いいなと思います。

よければ、「映像発信てれれ」、見に行ってみて下さいね。


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