よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

連載記事 

掲載日:2012-03-01 00:09:07

【連載記事】首位浮上(山本握微)

首位浮上 山本握微

 ボールペンは、胸ポケットに挿しておく、ようにしていて、他人から借りたペンも気がつけば胸ポケットで我が物顔している始末。
 だが、最近は経年の所為か、それすら覚束ない。何時の間にかハイチャイしている。気がつけばペンがない。仕事中、ボールペンは必須なので、困る。たかがボールペン、されどボールペン。これがなければ伝票を切れないし、不在にしている人の席にメッセージを残せない。
 職場には、ボールペンなぞ誰のものでもなく溢れているのが常だが、こうした紛失と失敬を繰り返した結果、戒厳令の城塞都市如く、周囲で浮いているボールペンが見当たらなくなった。困る。

 で、必然的に「ペンからひもを垂らして首に巻いておく」という発想が生まれた。これなら、失くさない。
 そういう、ストラップつきのペンがないかな、とネットで探したけれど、これが意外と無い。あるにはあるんだけれど、ペン自体が安物風で短かったり。そういう、状況限定的な、控え選手的なペンにのみ、ストラップ付きがある。僕はホンチャンでこれを使いたいのに。
 ま、こんくらい作ればいいんだけれど。そんなこと考えながらふと寄った書店併設型の文房具店にて「ペン・ストラップ」が売ってあった。ストラップだけ、ちゃんとペン専用。しかも、ちょっとおしゃれなものとして。高かった。500円くらい。
 それこそ自分で作れば、という感じなのだけれど。ストラップのみが堂々と商品化して高値がついている、というホンチャン感が、僕の心をくすぐった。銭湯では使用済みの石鹸とシャンプーをかき集めて使うような生活をしているが、嬉しくて買っちゃった。一刻も早く、ボールペンがないだけで仕事できない、という状況も打破せねばならなかったし。

 おかげさまで、僕はいつ何時でもペンがすぐ出るという、ずば抜けたビジネスマンになることができた。

 ただ、ちょっと心に引っかかるのは……。僕が今持っている携帯電話、何度も落としたぼろぼろのやつで、これからもガンガン落とすつもりだが、それで壊れたら今をときめくスマートフォンにしたいと考えているのだけれど、あれ落とすとすぐガラスが割れそうなので、実際割れてるの使っている人やたら多いので、それこそネックストラップで下げることにしよう、とかねてから思い描いていたこと。
 さすがに、首からペンやら電話やらブラブラぶら下げていたら、ちょっとうるさい気がする。

 と言うか、身体のあらゆる部位、または衣服にカバン、それら全部ひっくるめて「もの」を持っておく、には「首から下げる」ってのが一番安心確実至極便利ってことに気づいた。肩からずるりと落ちる心配もなく、胸ポケットからぼとぼと落ちることもなく、指で保持しておく必要もなく。必要とあらば、すぐ手が届くし。
 ペンも、携帯も、身分証も、財布も、定期入れも、名刺入れも、文庫も、カッターも、定規も、鍵も、USBメモリも、カメラも、お箸も、何もかも全部首からぶら下げておきたい!
 だのに、だ。首に下げる不本意の定番は、ネクタイ! 何にも役に立たないくせに、S席グリーン高砂玉座で堂々としてやがる! あれを外して、他に二、三有用なものをぶら下げたいところ。
 でも、現実的に考えて、それは無理だから。仮にノーネクタイにしても、ぶら下げまくったらおかしいから。で、発案したのが「裏にポケットとストラップがついたネクタイ」。ネクタイの締める部分からストラップがついてて、ネクタイの本体部分(なんつーのかしら?)裏側のポケットに収納する。これで多少なりともネクタイ、役に立つ。XXXX(収納のカリスマ主婦とか実用書方面で有名な人の人名を後で調べて代入)もびっくり、奇跡の収納術。まあ、ネクタイの先がペン先になってる、とかでもいいけれど。


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