よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

連載記事 

掲載日:2012-03-29 01:19:26

【連載記事】一日を棒に風呂う。(山本握微)

一日を棒に風呂う。 山本握微

 こんにちは、こんばんは、おはようございます。本日もやって参りました、生活マルトク情報バラエティーウェブマガジン、余所見です。今日も、とっておきの街の情報、これをご覧のハイソサエティ層にこっそりお届けしますね。周囲と差をつけましょう。合言葉は……せーの「余所見たことか!」

 さて、皆さんは、お風呂に入りたいけど家にお風呂がない、ってことありませんか? ありませんか。そうですか。僕はあります。お風呂がないです。じゃあ、どうする? まあ、入らないですね。基本は。当然、社内では噂になります。必然、窓側行きです。換気的に。でも、社内はいいんですが、取引先とか訪問する時、困りますね。なので、たまには入らないとならない。
 で、銭湯に行きます。幸い、比較的近所に一軒あります。徒歩10分もないくらい。今、大阪市では一ッ風呂四一〇円。ふうむ。余談ですが、銭湯には高齢者割引デーだっけか、みたいなんあるんですが、今大阪市の首長が云々で補助金が打ち切られる見込みらしくて、今、各銭湯で署名活動やってます。実に色んな余波と署名活動があるんですね。でも銭湯で署名活動って、すごおく、あれですよね、数じゃないのに数じゃないのに、って感じで。
 それはそれとして、この銭湯、夜は12時までやってます。結構、遅くまでやっていますね。でも、会社から帰って、途中コンビニで週刊漫画雑誌読み耽ったりしていると、間に合いません。で、少し足を伸ばすと、日を超えてやってる銭湯が数軒もあります。素晴らしい。でも、ここへ行く途中、うっかりコンビニで「ミナミの帝王」とか読み出すと、もう間に合いません。もう同じ話何回も読んでるのに! と後悔しても手遅れ。さあ、どうする?

 (♪ピコーン・ピコーン)お、鳴りましたね。注目のベル。ここからが本題です。アルス・メモリア(記憶術)の準備はいいですか?

 朝風呂やってる銭湯も探せばあるんですが。曜日が限られていたりします。そこで、知る人ぞ知る、カプセルホテルの朝風呂を利用しましょう。
 サンプレイン長堀。地下鉄長堀橋駅徒歩数分。電車内で宣伝文句を聞いたことある型もいらっしゃるのではないでしょうか。大阪市のなかなか中心部、比較的安めの値段な、優良カプセルホテルです。……まあ、これをご覧の皆様にはカプセルホテルなんて縁はないでしょうが(みんな「こま(?)」に行くんでしょ)、況や旅先でなく地元のホテルをや。確かに宿泊はしないですが(やってみたいけど)、ここの裏メニュー(サイトには載ってないな)として、朝風呂、あるんです! あんまり他の人は言わないでくださいね。
 まあ、この手のホテルって、ビジネスマン向けの仮眠利用とか、サウナだけとか、よくあるんですが。でも、この「朝風呂」って枠、7時から9時だっけか、10時だっけか?忘れたけども、五〇〇円なんです。
 へー。普通の銭湯が四一〇円で、カプセルホテルの共同浴場が五〇〇円ねー。この手のホテルの定石ですが、風呂は最上階、展望風呂と銘打ってまして、風景は、まあ雑居ビル群が多数を占めますが、通天閣も見えたりとなかなかの眺め。そして何より、タオルは拭き放題で歯ブラシは磨き放題、髭は剃り放題で、シャンプーもボディソープも泡立て放題ヨーロレイヒー。これで五〇〇円はなかなかですぜ。

 あれは数年前……長堀橋の某劇場で公演していた時。劇場に泊り込んでいたのですが、あまりの忙しさに風呂へ入る時間がなく、だのに汗は死ぬほどかいている、という最悪な状態。これはまずいと本番の早朝、あちこちの風呂屋回るも開いてない。朝風呂やってる、という噂を聞きつけて尋ねても、曜日的にやってない、ところばかり。「そんな……風呂に入りたいのに、入れないってのか……そんなことってあるのか……この21世紀の経済大国日本で……」と絶望していたところ、サンプレイン長堀を発見……なんで発見したんだっけかな、朝風呂やってます、って看板出してたのかな、駄目もとで尋ねたのか……「はいどうぞ」と入れたんだった。
 記憶では、あの時七〇〇円だった。朝風呂、というか、「4時間休憩」の一種として入ったんだっけか。後に「1時間休憩」という枠があると知り、五〇〇円で入るようになる。でも、今朝行ったら、特に何時間となく、「朝風呂」と明言して、五〇〇円だった。時間も朝風呂枠内でゆっくりしてもいいみたい。
 しかも、後四〇〇円払ったら、ホテル用の朝食(和食バイキングだっけか)も食べられる。

 「真っ昼間の、銭湯上がりの生ビール。 これに勝てるヤツがいたら連れて来い!」とは、エッセイ「昼のセント酒」(久住昌之)の惹句ですが、よござんす、「朝っぱらの、カプセルホテル展望風呂に、朝食バイキング(食べたこと無いけど)」同伴で迎え撃つ、って話ですよ。同エッセイの冒頭に確か、風呂や酒は、夜やるとどこか言い訳くさく後ろ向き(がんばったから、とか、疲れたから、とか)だが、昼やると、それはもう行動そのもの、みたいな趣旨のことが書かれてあったと思います。これは素晴らしい見解ですが、そこへ行くと朝風呂はそれ以上。加えて、もう酒も飲みましょうか。一日を、始まる前に終わらせる。一日を、無かったことにする。

 と、そこまで退廃的な楽しみでなくてもいいですか。一日の始まりを、出先朝風呂で済ませる、ってのはなかなか乙です普通に。いや家に銭湯あるし、って方。そうそう。そういう人、夜に行く銭湯には確かにあんまり意味ないですが、朝はいいです。

 朝風呂、家でできても、それは家の中だからまだ始まる前というか。玄関を出て、初手が風呂。これ。

 今回の余所見も、明日朝から即実用可の充実した内容ですね。いやほんと助かりますサンプレイン長堀。しかし、個人的に一番惹かれるのは、朝風呂よりも「カプセルホテル的雰囲気」かもしれません。あの、独特の、サラリーマン臭さといいますか。あ、それで思い出しましたが、女性客は朝風呂利用できません。悲しいかな。サンプレイン長堀自体は、女性も宿泊できる施設なんですが、展望風呂は男性用のみ。まあ、完全に男性文化ですねこれは。


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