よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

連載記事 

掲載日:2012-06-07 01:14:36

【連載記事】窓を開けた部屋(藤井菜摘)

窓を開けた部屋 藤井菜摘

今ぐらいの時期になると、部屋にいるとき窓をあけて過ごします。4月、5月の半ばまではまだ夜中開けているのは少し寒くて、けど6月になるとさすがに朝まで開けていても心地いいです。

窓を開けているのと開けていないのとでは、部屋の雰囲気がずいぶん違って。ステレオの音が逃げて、隣の室外機の音が入って来て。風が入ってきたら外と室内の温度の差が縮まります。こもっていた埃っぽさの代わりに裏の家の煮物の匂いが入ってきたり。何かしらが外と行き来している感じが、部屋を外と繋がっている空間に変化させます。

中でも音はその役割が大きくて。何が聞こえてくるわけでなくても、夏の夜の外気の音ともない音は、ぼーっと一晩中でも聞いていたくなります。

時々具体的な音が混じってきて、そういうのも良いです。昨日は前の道路で誰かがお金の話しをしていました。話しの内容は聞こえないけど、何十万とか単語だけ聞こえました。
この家の周りは、救急車の音と消防車の音が本当に多くて。こんどカウントしてみます。
車の音でいうと、近くにゴミ収集車の拠点のようなところがあるので、夜遅くにゴミを収集する車の音もよく聞こえます。マンションとかは多分市の収集日の他に収集するんよね。
屋台のラーメン屋さんの音は、ここいらを廻っている人の音はちょっとアレンジがきいています。チャラリーラリ♪チャラリラリラー♪の後半のところがなんかフェイクとか入っている感じで、それがなかなか哀愁あるメロディーで。
向かいのマンションの一室のベランダでは、風で揺れるとカラカラカラと音がなる竹かなにかでできたやつが時々鳴ります。

こちらはというと、ミシンの音、ラジオの音、畳を歩くときの音、アイロンが暖まる音。ときどき人と話す声。そんな音を外に提供しています。


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