よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

連載記事 

掲載日:2012-08-07 18:04:27

【連載記事】行き帰りのはなし。(前編)(中島彩)

行き帰りのはなし。(前編) 中島彩

先月、北海道に行って、しばらくして、帰ってきた。

北海道へは、高校の修学旅行以来はじめてで、自分一人で計画しての行き先としてはこれまでで最も遠いところだ。

どう行くか。
まず条件となるのは金銭的なことで、安けりゃなにより。次に面白さ。もともと移動するのが好きな方で、徒歩、自転車、自家用車(助手席だが)、電車、高速バス、フェリーetc...それぞれに楽しみがあって、迷う。
今回は、最近話題の格安航空会社の飛行機を利用することにした。これがもっとも金銭的条件を見たし、噂の乗り心地やサービスはどうかという好奇心も満たしてくれそうだった。

一週間前にインターネットですんなりと予約ができて、当日は空港内でカウンターを見つけるのに手間取ったものの、無事搭乗、1時間ほどのフライトで、確かに世間で言われている用に座席は広くはないが、短時間のことなら苦にならない。空港に到着して、そこから目的地までは電車で2時間ほど。朝に大阪を出発し、当日の昼には北海道で仕事に取りかかれるくらいのスムーズな移動だった。
滞在は3週間。帰りの日程は出発時には決めておらず、滞在中に仕事の進行具合を見て決めるつもりだった。

1週間ほど経って、おおよその仕事の雰囲気がつかめてきて、帰りのことを考え始めた。持ってきたノートパソコンとネット接続用のデータ通信端末をつないで、帰りの飛行機の便を調べる。と、まず、ネットにつながりにくい。そこは北海道は小樽方面の農村で、滞在しているところは山の麓の民家なのだが、大阪ではスイスイと繋がったものが、接続にとても時間がかかっている。日本国内なら大体のエリアをフォローしていると聞いていたのだが…。
気長に待ってようやく画面が表示されると、今度は行きと同じ航空会社なのに、帰りの北海道-大阪便の値段がグンと値上がりしている。時期は7月末、観光シーズンに突入しているのだ。それでもまだ他の交通手段よりかは割安と、チケットを予約しようとするも、支払い方法を選択する場面になって、支払いができないことに気づいた。
というのも、旅先で失くすと大変そう、とクレジットカードを持って来ておらず、コンビニ払いに対応するコンビニが付近になかった。(コンビニは徒歩30分ほどのところにセブンイレブンがあったけどこの航空会社は対応しておらず。もう1件、北海道でのみ展開しているであろう聞いたことのないコンビニ=セイコーマートがあったけれど、こちらも対応していない)銀行も隣町まで行かねばならず、仕事の合間にちょっと行ってくることが難しい。
あきらめて、別の格安航空会社を探してみると、こちらはセブンイレブンでのコンビニ払いに対応している。しかし、北海道ー大阪便がこの時点で就航しておらず、成田止まりだ。こうなれば丸一日フェリーに揺られようかと悩んでいると、同じ民家に滞在していた人から、成田からJRの青春18切符を使うのはどうかという案がでた。ご存知かと思うが、青春18切符はJR全線が一回あたり一日乗り放題となる5回分の回数券である。ただし、有料特急は使えない。試しに、東京ー大阪間を普通列車で一日で移動できるものか調べてみたところ、9時間で移動したという体験談がネット上にあがっている。
北海道から成田まで、格安航空会社の飛行機で午前中に移動し、午後から青春18切符で大阪へと向かう。その時考えられるプランの中で、それが最も安くあがるし、面白いと思えた。
さっそく搭乗券を予約して、支払いに徒歩30分のセブンイレブンへと向かう。セブンまでは一本道。広くて、車はビュンビュンと通るのに、信号機は一台もない。人にも会わず、右も左も畑ばかり。空がすごく大きくて、支払いが終わって帰りには満点の星空が広がっていた。
さて、ようやく帰りのプランが決まった。日によっては全く繋がらないネット環境に悪銭苦闘しながら、決まるまでに、5日ほどかかっていた。

大阪からは、スイスイとネットで予約、スイスイとクレジットカード払い、怖いくらい簡単スムーズに決まって、自宅から空港まで電車でスイスイ、そこからは飛行機でスイスイ。
あんまりすぐに来れたものだから、なかなかつかめていなかった北海道に来た実感が、この5日でようやくわいてきた。
ああ、遠いところに来たんだな、と。

(つづく)


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