よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

連載記事 

掲載日:2012-12-31 12:52:56

【連載記事】ショベルカーの帰還(山本握微)

ショベルカーの帰還 山本握微

 その業界では別に何てことない普通、なのだろうけれども、素人の僕から見れば、はへえふうむ、なことが二つほどあったので、その一つ目。

 ショベルカーが、トラックの荷台によじのぼる、の巻。

 ショベルカーってのは、あれですね。キャタピラーで動いて、アームがついてて、その先端に土砂を運ぶでっかいバケット(というらしい)がついている、工事現場でよくみかけるあれです。こう、いざいわれてみると、これショベルカーって名前だっけ? その先端の部分はなんていうんだっけ? となりますが、ごくポピュラーなやつです。画像検索するとごついの出てきますが、僕が見たのは小さなタイプのもの。

 ある夜、道を歩いていたら、工事現場からショベルカーが撤収するところでした。
 ショベルカーって、キャタピラー(は正確には商標で、無限軌道とかクローラーというのが本来だそう)で動くのはわかりますけれど、よく考えたら町中の道路をガンガン移動中のショベルカーを見たことがないので、おうちに帰るときはトラックに載せてもらっているようです。
 で、軽トラ?の荷台に載るところだったんですが、どれどれよっこいしょ、と膝を曲げて載るわけには行かない。たまにコンビニ前の荷降ろしとかでみかける、小さな昇降台、に載せるわけにもいかない。果たして、どうやって載せるのかしら。

 まず、アームをぐいーんとさせて、荷台にピタとひっつけます。このアームと先端のバケットが、普段は力強く、掘ったり運んだりしているわけですが、その腕力を活かし、ぐっと荷台を押さえつけるのです。すると、反作用で、ショベルカーの前部分が浮き上がります。へー。いわば、キャタピラーがウィリーしているような状態。浮き上がった前輪を、荷台の後方に引っ掛けます。
 このまま、ぐっとキャタピラーでよじのぼれる、わけではない。今度は運転席がぐるっと回転。反対側を向きます。アームも回転。今度はそのバケットを、地面に突き立てます。ふんぬ、といった感じで先ほどと同様、反作用で、もう片側のキャタピラーも浮き上がり、ショベルカー自体が、半ば宙に浮いたように見える状態。

 一方、トラックの方もがんばって、荷台を傾斜させ、ショベルカーを迎え入れやすいようにしています。

 そうして、やっとキャタピラーが駆動。するするする、と荷台に収納されていきました。

 「え、そんなの常識だけれど?」と言われそうですが、まあ、普段はぶんぶん動くアームが、ああやって自らは動かずにして、他の部分を動かす様子が、なかなか新鮮でございまして、面白かったです。動でなく静でもって力を発揮しているところが。

 あと、僕が見たときは、すんなりいかず、長いこと宙を浮いたまま、トラックの人とショベルカーの人と、後ろで見守る人が、わいわい騒ぎながらぐだぐだやっていて、何だか牛のお産みたいだな、と思いました。牛のお産も見たことないけれど。


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