声をかけてくる人 藤井菜摘 街を歩いているとき、時々人から声をかけられます。 今日は、心斎橋から大国町の自宅まで歩いている途中で50歳くらいのおじさんにナンパされました。「パチンコで勝ったからお茶おごらせて」と声をかけられて、余所見に書くネタなんかになるかなと思ってついていってみました。私は実年齢より若く見られるほうで、おじさんも私が18,19歳くらいだと思ったみたいです。「君みたいなおとなしそうな子が好きやねん。今どきぽい子はあかんねん。」と言われました。その日は、ちょうどおじさんの前に、美容師さんに髪を切らせてほしいと声をかけられたとこで、なんかこう、時代遅れなあか抜けない空気をかもしながら歩いてたんやなと思いました。おじさんは、さして面白いとこが出てくるふうでもなく「変な事せえへんから、また遊ぼ?」とか言ってくるので丁重にお断りして、遊ぶって何して遊ぶんやろ、とか怖くて聞けなかったんやけど、コーヒー1杯だけごちそうになってお別れしました。 道を聞かれるのもよくあります。自転車に乗ってても聞かれる。外国人にも聞かれる。酔っぱらいにも絡まれる。ニラ持って立ってたら「今日はニラレバ?!」ってからまれた。すれ違い様にかけ声をかけられるなんてのもよくある。深夜に千日前の坂を自転車で上ってるときバイクで追いかけられたときはすごく怖かったです。坂の途中からカナディアンのとこらへんまで着いて来た。ジュンク堂で雑誌を立ち読みしてたときは、隣の人に、「今日、遠くから来る友達をご飯につれて行かないといけないんですけど、どこかいい店しりませんか?」って聞かれました。ていうか、目の前にmeetsあるやん!なんとなく思いつく店を教えておきました。でも確かにミナミはチェーンばっかりなんよね。 カニ道楽本店の前まで連れて行ってあげたあの御夫人が実は大金持ちの奥様で、あなたのような素敵なお嬢さんをぜひうちの嫁に!なんて展開を期待するってのは多少なきにしもあらずなんやけど、そういうのがなかったとしても、街中で知らない人に声をかけられるのは悪い気はしないです。それが、酔っぱらいでもキャッチでも。一期一会的な楽しさがあります。