サバイバルゲームにいってきた 蛇谷りえ サバイバルゲームにいってきた。というよりは、サバイバルゲームをプレイするためにいってきた。という方が正しい。 きっかけは、私の弟が昨年冬に高校受験で心が折れかけていたので、何か目標みたいなものを用意しようと、「何かやってみたいことがあれば叶えるよー」と大きなことを発言したことが始まりだった。弟はすぐに、ここへいきたい。とURLをチャットで送信してきて、情報収集のレベルの違いに圧倒されながらも、「わかった。」と強気で返事をした。しかしながら、サバイバルゲームなんて、やったことなんてほとんどないし、もはやびびって苦手な方だし、どうしようかな、ともじもじしてたら、昔に揚々とゲームセンターでサバイバルゲームをやってた米子くんを思い出して、米子氏に声をかけた。こころよくいっしょに遊んでくれることが決まって、弟と米子くんの日程を早々に調整して、あっというまに前日がきた。 だけど、遊ぶ人数が私と弟二人と米子くんと、4人は少ないかなーと思って、とっさにいろんな人に電話をしてみるが、友達はみんな忙しそうで、紹介をしてもらう。知らない名前がいくつかあがって、時代は移りかわっていることになんだか転校生気分を味わう。 最後の切り札、yosomiのメーリングリストにも前日だけど、一か八か流そう!と張り切って夜にメールを作成したのに、肝心な送信ボタンを押さずに、他の仕事がまいこんできて当日を迎えた。あんなに文章打ち込んだのに。。涙。 当日のお昼、メールを送ったと思い込みながら誰かを待ってみるが、連絡は来ず、弟二人と、米子くんと、いっしょに高橋くんという人が来てくれた。ひょろっとした背の高い人。という印象。弟たちはすぐに米子くんと高橋くんと仲良くなって、5人で会場に向かった。 トラブルがあって、一件目のサバイバルゲームフィールドには入る事ができず、高校生になる弟のテンションは駄々落ち。中学生になる弟はその姿をみて笑いをこらえてる。期待をふくらませておいて、そりゃないわなーと自分の準備不足に愕然として、おろおろしてたら、米子くんと高橋くんが他のサバイバルゲームフィールドを探してくれて、予定を大幅に変更して、場所を移動する。高校生になる弟にちくちく言われながらも、目をみて話をして作戦をたてる。落ち込みながらもちゃんと前を向いて歩いていて、随分大人になったもんだと感心しつつ、次はうまくいきますようにと会場に向かう。 心配はなんてことなく、クリアになって、ようやくサバイバルフィールドの説明を受ける。弟はみたことない生き生きした姿をしてる。すると、後ろから、「僕も参加させてもらっていいですか」と黒い格好をしたお兄さんが近づいてきた。「いいですよ」と即答して、これからはいるサバイバルゲームの会場が、貸し切りではなくて、参加者合同でプレイすることを理解する。 お兄さんは、スラッとした体系で黒い髪の毛を一つくくりにして、黒い帽子をかぶって、黒いパーカー、黒いカーゴパンツをブーツインしてる。特に目がくりっとしてて、きらきらしてて、マユゲが太くて、全体のバランスがよくてかっこいい。なんだか余裕があって、私たちにサバイバルゲームをインストラクターのお兄さんみたいにレクチャーしてくれた。何歳ぐらいなのか、さっぱりわからない。 あっというまに説明が終わって、さっそく会場へ。(説明が短いのも素敵!)会場の中は、真っ黒のコンパネでしきられた迷路みたいになっていて、広さは教室の1.5倍ぐらい。窓はなくて、うす暗い。赤チームと黄色チームの3人3人にわかれて、チーム戦。相手チームを打ってヒットさせたら終わり。コートチェンジをしてまた打ち合う。この繰り返し。コイン制になっていて、制限時間10分間が1タームとなって、1コインが必要になる。このコインを3枚、5枚、10枚と販売している。よくできたシステム。10分ごとに休憩ができるので、ちょっとした緊張感をほぐすのにちょうどいいし、まるで短距離走のトレーニングみたいだった。 回を重ねていくうちに、黒いかっこいいお兄さんの身振りをみながら、なるほどなるほどと学んでいく。弟たちは、のぼってみたかったダクトらしいところにいったり、ゲームの主人公みたいになりきっていたり、楽しそう。黒いかっこいいお兄さんは、暗闇に隠れて、不意を狙って打ってきたりして、始まってすぐにヒットする。そんなときは思わず「う!」と死んだ気持ちになった。あの気配の消し方はやばい。米子くんもたいがいやったけど。高橋くんは、背が高いのもあって、ひょこひょこ姿が見え隠れするんだけど、どこか堂々としてて、人の性格を感じた。 全部で4タームやって、日が暮れたので終わりにした。体はいい感じにだるくなった。弟たちは、駅の柱や壁など、それらしきものを見つけては空気で打ち合いが始まった。拳銃もって人をやっつけるのは、一見ハードな遊びだけど、空き家とか、町の空間を、ものの見方や身体が捉え直して振る舞う感じは、町なかでやる缶けりにも似ていて、おもしろかった。 「ヒマがあったら、またやりましょう」と次の日に弟からメールがきた。黒いお兄さん曰く、はまった人は何百万も費やす世界らしいけど、はまりはしないけど、また忘れたころにいけたらいいな。今度こそ、みんなも誘って。