よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(244版)
2017年6月23日 17時14分31秒 発行

連載記事 

掲載日:2013-12-28 13:57:38

【連載記事】二・三次元嗜好症(山本握微)

二・三次元嗜好症 山本握微

 二次元を平面、三次元を立体、とすると、二・五次元は半立体、だろうか。しかし、半立体というほどまでに立派な立体というわけでもなく、かといって、例えばエンボス処理程度の、ちょっとした浮き上がり、程度でもない。それ、を大体、二・三次元と定めよう。
 僕は二・三次元の物体が好きだ。僕に限らず、みんな好きだろう。
 しかし、なかなか無い。もしあったら教えてほしい。誰もが、それぞれの、二・三次元物体のカタログを持っているであろう。しかし、恐らくはそんなに数がないので、秘匿したいはずだ。しかし、何でも共有の時代ですぜ。僕が断腸の思いで、今咄嗟に思いつく、つまり二・三次元カタログを惜しげも無くお披露目するから、これを読まれた方は僕にも教えてくださいませ。
 といっても二点だけだけど。

 まず一点。僕が二・三次元嗜好症に目覚めた逸品。それは、堺市民会館近くの横断歩道前にあった。今は無い。もう随分前になくなった。小学生くらいの頃だ。それが現役で佇んでいた時、僕は一人の通行人だった。通りかかるたび、何とも言えない感傷を抱いた。それは物体としての機能を全うするのみ、僕はただの通行人で、今こうして「二・三次元嗜好症」と名付けてしまった以上、もうそんな自然な状態には達し得ない。惜しいかな。
 後年、ネットで画像を発見する。wikipediaで。「人形」の項にあった。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E5%A9%A6%E8%AD%A6%E3%81%A8%E5%AD%90%E4%BE%9B%E3%81%AE%E4%BA%A4%E9%80%9A%E4%BA%BA%E5%BD%A2.jpg

「ああ、二・三次元というのは、そういう安っぽい人形とかのことね」と早合点されるな。まあ、概ねそうなんだけど。
 この写真では伝わりにくい。ので文章で説明すると。この交通安全人形は、婦警と子供を模した珍しいデザインで(だいたい交通安全の図示って子供単体が多いので)、単に注意を促すだけでなく、横断の際に掲げる「横断旗」を収納するのが主目的だ(なので二組で一セット)。いずれにせよ、機能としては看板(平面)に小箱(立体)でも事足れり。それでも、立体感のある人形にしているのは、まあインパクトあるからか。
 で、勘所はここから。この人形は、見た目通り、看板でも良い、から、平面的な作り。
 しかし、実は正面から見たとき、婦警の正面の顔、がちゃんと成り立っている。平面的な作りのまま、ものすごい細面で! 一方、子供は、構造上、婦警の後ろ一歩下がっているので、正面の顔、が構成されていない。正面から見ると、裂けている。
 この「平面的なものが立体であろうとする時、何かしらちぐはぐなものが発生する趣」が、二・三次元の勘所。
 残念ながら、この人形、ネット上でもいくつか写真は見当たるのに、何故だか正面から撮った写真はない(また、婦警と子供、というデザインで共通しつつ、幾つかバリエーションがあるようで、顔がきちんと立体なものもある。子供は割れたままだが)
 この写真が、かろうじて雰囲気が感じられる。

http://www.geocities.jp/kogata79/hanazono/fukeisan3.jpg

 さて、何年か前、堺、高須神社近くの古物屋で色褪せたこの人形と再会した。値段は(値切って)一万円。悩みに悩んで買わなかったけど。そして、この古物屋も閉まってしまった(中年の店主、名も無き店で、市での販売が中心、その古びた店舗は元理髪店、倉庫兼用で、滅多に開かない店、とのことだった。僕は幸運にも三度店を訪れることができた。モーター系にも詳しく、店主はオート三輪で店に通っていた。非常な、というか恐らく病的なレベルでの話し好きで、淡々とした調子で二時間ぐらい絶え間なく喋り続けた)。

 これよりレベルはぐっと下がるがもう一点。これは最近、会社へ通勤する際に見つけた。
 ファッションブランド、マークジェイコブズの心斎橋店。僕はブランドについては皆目わからないが、この仮説のような看板、何となく雰囲気はわかる(少なくとも過剰に装飾的ではない、ぐらいですが)。そしてこの、取ってつけたような階段。わかりますわかります。それぞれの部品、その佇まい方に、共通性がある。まあ、だからこそのブランドなわけだが。
 さて、この階段。もしやと思い、近づいてみると。

(本記事の画像をご参照)

 いやはや。細すぎて実用的ではないとはいえ、一応階段かな、と思いきや。細いどころか、この構造では階段から折り返しができない。そして階段にも通路にも底がない。これもまた、立体であろうとしながら、その辻褄が合わぬ例。

 まだまだあるでしょう、二・三次元物件。教えてください。

マークジェイコブズ、正面から

近づいて下から見ると


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