よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

連載記事 

掲載日:2014-01-28 11:28:59

【連載記事】みんぱくに行って来たこと(中島彩)

みんぱくに行って来たこと 中島彩

先週の土曜日に、吹田市にある万博公園内の国立民族学博物館(以下、みんぱく)に行ってきました。
久々のまる一日の休みで、洗濯物を片付けたり、レシートの整理をしたり、時間があるときにしっかり見ておこうと投げ出しているような日々の雑事をするのをやめて、この日はまる一日遊ぼうと決めていたので、前日はわくわくしながら早く寝て、朝起きたらいい天気だったので、すごくうきうきしてでかけました。
お化粧して、お気に入りのズボンとセーターとコートと首巻きをして、でかけました。
電車とバスに乗りました。
ついてから、まず万博公園の休憩所でカレーを食べました。
ダイエット中だけれど、この日はカレーも食べていいことにしました。
それからみんぱくに行くと、たまたま空調設備の工事中で見れない展示エリアが多いからということで、無料で入ることができました。
まず、ビデオテークで30年くらい前のメキシコと日本の田舎の祭りの映像を見ました。
それから、東南アジアの展示エリアを見ました。
各地の土着の宗教に用いられる偶像や道具、曼荼羅のような図柄や、仮面、精霊像を見たり、農工具を見たりしました。
休憩に館内の中庭に出たのですが、「甘いものは飲んではいけません」みたいな張り紙がしてあって、中庭においてある自販機の缶飲料も、水とお茶とブラックコーヒーしかなくて、なぜかというと、甘いものは虫が寄ってきて、虫が展示品を齧ったりする原因となるかららしいです。
休憩の後、図書コーナーに行って、検索機を使って本を探したところ、どうも検索機に表示される「場所」と目の前の図書コーナーは一致しません。よくよく案内を見ると、館内の別の場所に図書室があって、目の前のコーナーはその中ならほんの一部を出してあるだけ、コンビニの窓際に並べられた雑誌ぐらいのものなのだとわかりました。
それで、係員さんに聞いてみると、大きな大きな図書室に連れて行ってくれました。
ほんとに大きな図書室で、たくさんの本があって、すごかった。

館内の展示物も、同じなのだと思います。
みんぱくはそもそもは研究所で、博物館として人に見せる機能も持っているというくらいのスタンスなのです。たぶん。
精霊像や仮面や農工具はひとつのあらわれに過ぎなくて、その奥にはたくさんの物語があって、それを研究者さんたちが毎日毎日研究しています。研究して、何とか残そうとみんぱくに持ち帰って(買い取って)います。インドの祭りに使われる、神様の像が載った人の3倍くらいの高さがの大きな山車や、バリの身分の高い人のお墓の前に置かれる木像なんかは、どうやってみんぱくに持ってくることができたんだろうと、想像するだけで大変そうです。技術的にも、持ち主や地元の人たちとの交渉も、大変そう。
「こんなんどうやって運ぶねん、飛行機載らんやないか」
「バラバラにして運んで組み立てたらいいやん」
「おまえ、これバラバラにしたら悪霊が逃げ出すぞ」
とかね。
だから、展示されてるのは、それらのほんの一端でしかないのです。
でも、その一端には、もっともっと多くのことが詰まっています。
そのカタチにたどりつくまでに、たーくさんの人が関わっているのです。
ただの石ころや木が、実用的な道具や、洗練された装飾や、神聖な神像にいたるには、何十年、何百年、何千年もの間に何百、何千、何万人もの人たちが、ああでもないこうでもないとか、あいつらこんな方法やっとったでとか、こんないいもん持ってたから盗ってきたわとか、そういうことを繰り返してきてるのです。
たぶんね。

私は、みんぱくに行くと、そこにあるそれぞれのものにまず思いを馳せてわくわくしてるのだけど、気がつくと、もう圧倒的に疲れていて、胸が一杯で、もう帰りたくなります。それは気持ちいい程の打ち負かされ感。子どものときに大人が手を抜かずにトランプしてくれるみたいな。
きっと、めっちゃたくさんの人がむっちゃ前から、生まれては、なんかいろいろあって、死んだ、けれどこれからも当分は人は生まれるし、なんかいろいろして、死んでいく、その事実が、たくさんの、でも一端でしかない展示物を見てるうちに、直感的に理解するからだと思います。
どーん、と。

まあ、そんな風にロマンを馳せたり、世界の壮大さに感じいったりしたくなくても、ともかくたくさんのことがつまっているところだから、探せばその時の自分に必要な実用的な情報のひとつくらい持ち帰ることができるんじゃないかと思います。私は図書室で見かけた「かぶりもの」の本に載ってた、「ハンコタンナ」という手ぬぐいで作る頭巾みたいなのが気に入ったので、こんど真似して作ってみようと思います。
目のところだけ空いていて、あとは布で頭部全体を覆うのだけど、手ぬぐいだから蒸れなさそうだし、なんだかかっこよかった。夏場の日焼け対策にね。

ほら、行きたくなってきたでしょう、みんぱく。
無料入場は2月18日までみたいですよ。
それから3月20日から新構築された展示エリアが公開されるらしいですよ。


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