よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

連載記事 

掲載日:2014-03-22 00:05:33

【連載記事】ピエリ守山観光(永田芳子)

ピエリ守山観光 永田芳子

〈2014年秋の改装オープンに向け、一部営業中の店舗につながる通路以外を閉鎖し、部分営業に移行の後、2014年2月28日に全店が閉店し、リニューアル工事を開始した。〉
―Wikipedia記事より抜粋―

そういえば、と検索したらこういう状態になっていたショッピングモール・ピエリ守山。『明るい廃墟』なんて呼ばれ方をして、ネットで話題になっていたからご存知のかたも多いだろう。去年の秋に余所見の人達と見に行った。

あいうえお順に境、永田、米子の3名。
JRに乗って滋賀方面へ。滋賀へ行くのはおそらく5、6年?それ以上?ぶりで、行動範囲の狭い私には旅行ギリギリの移動距離だ。
世間話の合間にくぐるトンネルで、そのつど耳がキーンとする。
最寄り駅・堅田からはバスで移動。普段バスに乗ることはめったにないので、財布に小銭があるか、降りたいところでちゃんと降車ボタンを押せるか、そもそもバス停を間違えたりしないか、とドキドキする。実際は2人も同行者がいるし、両替機だってあるのだけれど。

自動ドアが開いて中に入ると、店内音楽が妙に響いている。吸音するであろう人も何もないから。インフォメーションカウンターには制服を着た女性が1人いて、前を向いて座っている。
什器置き去りや、看板ひっぺがし(壁紙が乱暴にやぶれていて、そういうふうにしか見えない)の店舗群に混じって無印良品、crocsなど見知ったお店の跡。2階には大きなダイソーの跡。奥まっていて、どう活用されていたのか、もひとつ不明な市民ホールらしき場所。カルチャースペース。
営業中のカフェがあったので、しばらく休憩。それぞれパフェ、クリームソーダ、コーヒーを注文。窓の外は琵琶湖を望むバルコニーへ出られるようになっていて、気候がよければさぞかし気分がいいのだろう。
タブレットで過去のニュース記事などを読みながら、ピエリ守山がどうしてこんな状態になっているのか、3人で少し話す。競合店のこともあれば、親会社がどうといった記述もある。いろいろ理由らしきものは見つかるが、そこから想像するのはやっぱり憶測にすぎなくて。

辺りも見よう、ということになって外へ出る。実を言うとピエリの店内には早々に飽きてきていたのでせいせいした(もちろん異様な場景ではあるのだが、私にとってはすぐ見飽きるタイプの異様さだったのだ)。
午前中雨だったこともあってか、いかにも郊外、といった感じの道には人が少ない。ぶらぶら歩くと、マンションにしては住人の気配にとぼしい、若干レトロな外観の建物があった。全部で3棟。帰宅後調べたところ、それはリゾートマンションとかいうものであった。1階は個人経営っぽい店舗が入っていて、営業していたのはナチュラル系の服屋と額縁屋。保養地的な住まわれ方をしている土地なんだろうか、見回すと、浮世離れした風情のかわいらしい家屋が一般住宅に混じってちらほら。

やがて琵琶湖の堤防に出た。すのこを裏返したものに似た、階段状の板を利用して湖畔に降りる。長靴だとすべりそうでちょっと怖い。”近畿の水瓶”だけあってとても大きいけれど、淵の際までくるりと街が囲っていて、海の果てのなさは無い。川の分断された感じも無い。空が紫とグレーを混ぜかけて止めたような色をしていて、写真を撮りたいと思った。が、ここへ来る何週間か前にカメラが壊れていた。先に堤防の上へ戻った2人のほうを向くと、境さんがコンパクトカメラで何か撮っていてうらやましい。風が強くて、巻きスカートの裾に付けたスナップが外れた。

帰りはルートを少し変えて守山駅へ向かう。バスの中はガラガラ。昼乗ったにもかかわらず心細いので、後部座席を選んだ2人のそばに座る。バスに酔いやすいので、1人なら絶対に選ばない席だ。後ろから見るフロントガラスまでの眺めは遠近感が強くて、バスというのはこんなに長い乗り物だったかといまさらあらためて知る。


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