梅田哲也さんについて 米子匡司 梅田哲也さんについて今の段階で僕が知っている事は、彼ができごとを扱う作品をする人だという事です。その作品はたとえば、風船だったり磁石だったり、拾ってきたものだったりタライだったり、僕らの身近にある物の働きを借りて組み立てられている事が多いようです。 彼がそうやって組み立てた物を見ると、多くの場合、僕はその物と物の作りだす状況をまず単純に気持ち良く感じて、次にちょっとした違和感のようなものを感じます。 快感の方は単純なもので、説明できることもないんだけど、違和感のほうはもう少し言える事があるかも知れません。その違和感は、そこで目にしたできごとと、自分の知っているできごととの差分のようなものから現れてきているようで、遠すぎず近すぎず、いつもなんか変な、将棋でいうと桂馬の通り道みたいな、変な距離感を持っています。角や飛車のように遠くから利いているのでもなく、金銀歩ほどにはストレートでもなく、ごめんよ、ヒョイっと少しだけ飛び越えてくる。 彼を興味深い人物だと思う執筆者が4人集まって、この企画の第1回目の対象に梅田哲也さんを選んで、お願いする事になりました。今の認識は今後3ヶ月間でくつがえるかもしれないし、このまま強まるかもしれません。 彼の作品は、いまのところ主に現代美術の展覧会などで見る事ができます。音楽イベントの枠組みの中で、ライブパフォーマンスをする事もあります。 --- 定点観測は、この後期間を6ヶ月間に延長しました。