よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

連載記事 

掲載日:2014-06-01 12:38:40

【連載記事】ウィザードリィとダンジョンマスター(山本握微)

ウィザードリィとダンジョンマスター 山本握微

「さて問題です。ウィザードリィとダンジョンマスターの決定的な違いは何でしょう?」
「……。いづれも古典的な3Dダンジョンロールプレイングゲームの名作に違いないけれど、違いを挙げればキリないでしょう」
「決定的な違いヨ!」
「ウィザードリィが所謂ターン制であるのに対し、ダンジョンマスターはリアルタイムで時間が進む、アクション要素もあるってこと?」
「ブー。そんなのは些事ヨ。正解は……ダンジョンマップのデーター形式の違いです」
「どういうこと?」
「いづれもダンジョン(地下迷宮)を探索するゲームで、その間取りは方眼紙で現すことができます。プレイヤーは迷わないように方眼紙を用意してマッピングしながらゲームしますもんね。でも、迷宮を形作る最も基本的な『壁』の捉え方が違う。ダンジョンマスターの方がわかりやすいけれど、方眼紙の升目一つ一つが『壁』であったり『通路』であったりする。それに対し、ウィザードリィは、方眼紙の罫線に対し『壁』が描かれるのです」
「ふうむ?」
「例えば、ダンジョンマスターのマップは、多分データ上ではこんな感じになっていると思うのよ」
111111111
111000111
111000111
111000111
111101111
111101111
「1が壁で0が通路ね。これは細道から部屋状の空間が続いている感じだけど」
「なるほど」
「まあグラフと一緒で、プレイヤーの位置をX軸とY軸の座標で現し、その前後の情報を参照して、画面を描いたりしていると思われる」
「うんうん。わかりやすいね」
「一方、より時代が古いウィザードリィだけど。これは例示しにくいな。これなど。http://cagami.net/dansyaku_blog/091104_01.JPG 何故ならこの文字も方眼紙でいうなら升目にしか書けないわけで……」
「まあ、言いたいことはわかる。でも、データも究極的には文字じゃない? 隙間をどうやって表現していたんだろう?」
「これは予想ですけど。升目の四方の「壁」の有無パターン、4×3×2=24種の記号を、整合性がとれるように振ったんではないかしらん?」
「そんなややこしいことしてるんかなあ?」
「でもウィザードリィには、升目を遮るだけの「細い壁」もあるわけ。そういうのは単純な方眼紙の0と1じゃ現せないでしょう」
「確かに……」
「この、微妙なようで決定的な違いを、日常でもよく痛感します。例えばスケジュールを切っている時。時間軸を升目で現した場合、14時、という升目を置くのか? 升目の境に14時を置くのか。会議の時間を現すのなら14時という升目に「会議」と堂々書けばよいでしょう。しかし14時に電車に乗る、のなら、14時の境目に書いた方が腑に落ちる」
「会議みたいに一定時間を占める予定なら升目、瞬間の時間を現すなら境目ってことかしら」
「まあそれを、アナログで紙に書くのなら何とでもなるんだけど、データに落とすとなると、同じフォーマットになるじゃん? 午前の予定をA君に、午後の予定をB君に、それぞれ計画してもらって後で統合しようとすると、結局こっちで形式あわせなくちゃならん!」
「A君は『10時 バス乗車』って書いてて、B君は『13時〜14時 工場見学』って書いてある、と。ほんなら、『10時〜11時 バス乗車』って書き直すか、『13時 工場見学 14時 工場見学終了』って書き直すか」
「というか話戻して、例えば『ダンジョンマスターのシステムでウィザードリィの懐かしマップが探検できる!』みたいな企画が出た時、どうするのかなと」
「そんな企画出ないよ(チャンチャン)」


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