一人チケットパーティ、私も。2 中島彩 なんだかんだでイベント事にはよく行っています。溜まったチケットを整理するがてら振り返りましょう(チケットがないものもありますが)。読者のみなさまの何かの参考になれば幸いです。 (今年の晩夏から秋) 「第二回 織田作まつり」生国魂神社 10月中旬 ・・・織田作之助をまつる祭りです。オダサク倶楽部という織田作之助ファンが主催。 オダサクが氏子だった生国魂神社の境内でひっそりと開かれていました。 オープニングセレモニーはオダサク像の前で。生国魂神社のあの裏側、本殿の右側の森っぽいところです。それほど人が多くなく、「マイナーなイベントなのか」と思っていましたら、記念講演と寄席の会場の社務所内は入りきらんばかりの人に溢れていました。 ・・・今年はオダサク生誕102年目。ということは、長寿社会の日本、生きていてもおかしくない、なんて講話があり、ぐっとオダサクが身近に感じられます。 それからオダサクや同時代の近代日本文学作家がいかに落語と密接していたかの話があり、寄席ではオダサクが好きだった演目が行われました。 ・・・ 月亭秀都「ちはやふる」 笑福亭飛梅「軽業」…昔の口上が多くて、聞き取れないところが多かった!そういうのってどんどん上演される機会が減っていくのだろうな。見れてよかった。 月亭文都「鴻池の犬」…アフタートークでされた話が興味深かった。大阪では鴻池家(大坂の豪商)のところを、東京では岩崎家(三菱財閥の創業者一族)に置き換えたけれど、全然ウケなかったという話。同様に豪商といえど、町人との関係は異なる有様だったんでしょうね。 ・・・まあまあ、といってもマイナーなイベントです。「夫婦善哉」が好きな大阪のおじちゃんおばちゃんが圧倒的に多い。そんな中で隣り合わせになった人がどうも私と同世代くらいの女性で、連れもいないようです。きちんとお化粧もして、スカートにハイヒール、堅実なOLさんという雰囲気。 イベントが終わってからタイミングあって声をかけてみたところ、寄席に出演していた月亭文都さんのファンとのこと。ふうむ。女性ひとりで落語を見に来てる人って、落語そのもののファンというより、特定の落語家さんのファンの人が多いような気がする。ファザーコンプレックスからくる、貫禄のある年上男性に対する憧れみたいなのがあるのかな。なんて考えながら帰りました。 「みんぱくゼミナール 言語の遺伝子をたどる ほか常設展示」国立民族学博物館 10月中旬 ・・・歴史言語学の入り口の話。オセアニア諸島の言語を例題に、言語の変遷の調べ方(変化のどこを見るか)などの話。世界には驚く程の言語がある。7000語以上だという。 ・・・みんぱくゼミ。いつも感心させられるのは、講義が始まる前に常連受講者の表彰式が行われることだ。200回受講したツワモノなんかもいらっしゃる。講義内容は毎回異なり、民族学と一口にいうても分野は多岐にわたる。200回、といったら、元からの興味の有無に関わらず関心を持てる態度が必要だ。年配の方が生涯学習にと通っておられる場合が多いようだけど、その知識欲や学習態度には頭が下がる。 ・・・常設展示場は、オセアニアとアメリカをじっくり見た。じっくり見ると、本当に時間がかかる。全部見ようと思えば一年がかりになるかも知れない。今回は電子ガイドも借りてみた。よくできている。研究者の人が「これはこの音声ガイドを聞いてる人だけの内緒話ですよ」なんてことを言うこともある。 ・・・みんぱく、ほんと奥が深い。吹田市に住んでいなくてよかった。住んでいたら、きっと入り浸ってしまっていたことだろう。 「ウォルフガング・ティルマンス / 他人の時間」国立国際美術館 9月下旬 ・・・現代ドイツを代表する写真家ティルマンスの展覧会。大阪でこの規模の個展は初めてかな。うん、まあいいのだけど、私の好きなシリーズは展示されてなかったり、点数が少なかったり。まあまあ、いいや。 ・・・他人の時間。ミヤギフトシの作品が良かった。久しぶりに美術館で良いなと思える作品に出会った。他の作品もまあまあ。 ・・・大きな美術館だと、やっぱり作品の組み合わせが気になるな。 「彦八まつり」生国魂神社 ・・・9月上旬 上方落語の始祖・彦八さんをまつる祭り。落語家さんがうようよしていて、高座に上がってない同じ目線で来場者らとやりとりしてる。ファン感謝祭みたいなものなのかな。 ・・・富くじ以外のイベントは見物できず。富くじは、当選発表の上位に近づくにつれ、客席からのため息が大きくなり、当選番号を読み上げる人が、ため息や非難めいた眼差しを浴びながらも笑いをとろうとする姿が痛ましく、好ましかった。 「別府現代芸術フェスティバル」大分県別府市 9月上旬 ・・・同時開催の混浴温泉世界のツアーに参加したかったのだけど、定員に達していて参加できず。展示を見て回る。 ・・・ラニ・マエストロの作品がよかった。今回は再展示で一度見たことがあったのだけど、あらためて見ると、言葉にならない言葉の片鱗、火の痕跡、揺らぎのある作品だなと思った。 ・・・鉄輪地区で蒸し風呂に入る。由布の山へドライブする。夜の別府で友人と飲む。行きは飛行機、帰りは船旅。別府は強いなーと思った。土地自体の吸引力が強い。 「九多の松上げ」 8月下旬 ・・・松上げ、つまり、上げ松明。13メートルある松明のテッペンに、投げ松明を振り回し投げ入れ、点火させる。火祭りの中でも、「点火」に重きをおいている。 事前に見た写真のイメージからは、高いところ(天に近いところ)から降り注ぐ火の粉で災厄を振り払うイメージなのかと思っていたが、違ったようだ。地面から松明を投げ上げることに意味がある。 ・・・九多は京都の北方の山奥。交通の便は悪く、冬は雪が降り積もる、厳しい土地である。だからこそ集落内に引き継がれていく祭りがあるんだろうな。