福井優子 著 「観覧車物語―110年の歴史をめぐる」 永田芳子 高くて不安定なところが嫌い、おまけに乗り物に酔いやすいので遊園地に行ってもほとんどする事が無い。 ただ、ジェットコースターなり何なり、大きな乗り物が動いているところを眺めるのは大好きだ。近くのベンチに腰掛けて「ああ、今タカハシはあのループの頂上で逆さまなのだな」 などと考えるのは楽しい。 この本は図書館でみつけた。工業書のコーナーだったか、博物学系の背表紙が周りから浮いていて目に付いた。 観覧車もやはり乗れない物の1つだ。そして、眺めるに良いものの1つだ。あれがあると場が締まるというか、むだに幸福そうな景色に見える。 内容は著者が1994年、語学の勉強で渡米したときに手にした本から観覧車にハマり、以後、欧米・日本の観覧車の歴史をたぐる様子が344ページにわたって書かれている。実際に製作会社を訪ねた際の話や、エキスポランド、HEPといった所の観覧車の話は、自分が関西住まいという事もあって興味深かった。 図版も観光絵葉書、玩具など多数あって、なかでも「観覧車の写っているステレオ写真」が裸眼立体視できるレイアウトで掲載してあるあたり、きちんとしている。 これからも進んで観覧車に乗る事は無いが、どこかからそれを見る時に、何かしら今までとは違う趣が加わればもうけものだな、と思う。 追記: 後日図書館で確認してみたら、観光事業のコーナーだった。それはそれで、違和感のあるようなないような。