よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

連載記事 

掲載日:2010-08-25 03:25:53

【連載記事】Time Traveler × 5(山本握微)

Time Traveler × 5 山本握微

http://collective-parasol.blogspot.com/2010/08/time-traveler-5.html
京都・上桂、Collective Parasolで行われた、5人の映像作家による上映会。仔細経緯コンセプトなどはウェブサイトの告知をご覧くださいませ。
5つとも面白かったけれど、これやっぱり、永岡大輔「私の痕跡」が一番いいジャーン。
「ドローイングアニメーション」?というジャンルにしちゃっていいんでしょうか。最近、わりと目にする気がする。ネットの投稿動画から、海外の作家作品まで(資生堂ギャラリーだったかで見た気がする)。アニメーションって普通、画面それ自体やセルそれ自体が切り替わってアニミズム、みたいなノリだが、ドローイングアニメーションは、同じ画面=素材上で、それ自体を消したり書き加えたりしてどろどろドローイングしながら、アニメーションする、そんなん。
この手法自体、観るのは慣れても作るのは検討もつかないアニメーション、という表現を身近に感じさせてくれる面白いものだが、「私の痕跡」は2つの点で、僕が見たこれまでの類より楽しかった。
ひとつは、描きかえ、描き加え、掻き消し、描き込む、かきくけこ、の工程がそのまま提示されてたこと。つまり、作家の手も出てくる。早回しだが、最初は特に、作家が線を描く様子をゆっくり見せるので、即座に、身近さが感じられる。他のドローイングアニメーションって、初見だと、じっくり見ないと気付かないもんや。軌道が微妙に残ってるぞ、ってことで消して上書きしてるんだな、って気付くくらい。
さて、もうひとつ良かった点は、描かれている様子そのものが、なんでもない光景だったこと。こういうのって、如何にもそれらしい物語が多いから。モーフィング自在なモンスターの絵だったりとか。諷刺画みたいに戯画化されてたり(なんか前京都の美術館でやってなかったっけ、あれ誰だっけ)そんなんばっか。
「私の痕跡」では、何処かしらオフィスの休憩所?みたいなところで、椅子に座って談笑する様子を描いたもの。この、自販機とテーブルと椅子がある、という空間、まるで平田オリザが舞台にする「セミパブリックな場」。折角のアニメーションだというのに、二人の女性が椅子に座って、一人の男が自販機で飲み物を買う、といった極めて地味な様子のみ描く。だが、それが良かった。とってもキュート。
一応、アニメらしい表現として、この三人の会話を、言葉を表すらしき黒いゴニョゴニョが、話者の口から出て相手の耳に入る、というのがあったけ。まあ、これはなくてもよかった。



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