よそみ余所見

余所見は、見たり聴いたりした事と、それについて考えた事などを書くウェブサイトと紙の雑誌です。

第1号(249版)
2017年10月19日 16時40分33秒 発行

連載記事 

掲載日:2010-10-12 09:33:15

【連載記事】倉地久美夫と日比谷カタンの夜 覚え書き(永田芳子)

倉地久美夫と日比谷カタンの夜 覚え書き 永田芳子

弾き語り二人のライブ。


倉地久美夫は何度かライブを観た事があり、CDも何枚かある。初めて聴いたのはオムニバス『誓い空しく』。声がとても恐かったので、実際に足を運ぶまで何年か間があった。今でも恐いが、気になるので仕方が無い。
カバーあり、朗読あり、インストあり、1曲ごとにチューニングが変わるので、そのつど曲についてのエピソードなどMCる(と、本人は言う)。ある日大型カメラ店と大型電気店が共同で便利なデジカメを開発・発売したCMソングを夢で見た、タクシー運転手との「相撲取りは移動が大変ですよね、大きいから」「鬼だったらもっと大変ですね」「角ありますしねー」といった会話から出来た等、少々拍子抜けするような話なのだが、そこから出来るものには、えもいわねぬ不穏さを感じる。曲の中で、関わりあう事物や妄想、何人ものひと、いくつもの時間が等価に現れるので、この人の頭の中はどうなってるんだろうと思うが、もし開けて見せてくれたとしても間違いなく遠慮する。見ないほうがいいような気がする。


日比谷カタンは初見。四谷シモンを連想させる名や、チラシの襦袢姿からアングラ耽美系のドロっと煮詰まった感じを予想していたけれど、意外とそうでもなかった。本人は劇場型、と言っていたが、合間の擬似マダムな振る舞いや、やけに笑いをとりにいったりする様子には若干のお茶の間感がある。演奏はざっくり書くとジプシージャズ風のギターにシャンソンが乗った感じ。酷い、または非道い(と字をあてて欲しいそうだ)歌詞の曲を唄うのだが、物語性があるので倉地久美夫を聞いていた時ほどかき回されることもなく、ショウとして楽しめた。


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